「The 6th Asia Pacific Triennial of Contemporary Art」レポート
event report file002 / 岩崎美冴

オーストラリアの都市、ブリスベンにある美術館、Gallery of Modern Art(GoMA)とQueensland Art Gallery(QAG)で2009年12月5日(土)から2010年4月5日(月)まで、The 6th Asia Pacific Triennial of Contemporary Art(ATP6)が開催されています。

このトリエンナーレは、1993年から開催されており、今回で6回目を迎えます。今回は、25カ国から100名を超えるアーティストが参加しており、その中にはチベット、北朝鮮、トルコ、イラン、メコン川地域のカンボジア、ミャンマーのアーティストも参加しています。



展示作品は、過去作品からAPT6のために制作された新作までありました。作品の中には、展覧会後に美術館のコレクション作品となるものもあり、美術館全体として取り組んでいることが伺えます。
日本からは、大巻伸嗣、さわひらき、奈良美智とgrafのコラボレーションで参加しているYNG、名和晃平が参加しています。その他、北野たけしの映像作品も見ることができます。

2008年の黄金町バザールで果物のペーパークラフトを作る《フルーツ》を制作した、ウィット・ピムカンチャナポン(Wit Pimkanchanapong)もAPT6の参加アーティストのひとりです。黄金町バザールでサポーターさんや、参加者が作ったフルーツが、美術館の正面入り口に並べられていました。ここでも来場者は、自由にフルーツを作ることができ、大人からこどもまで、それぞれのペースで楽しみながら組み立てていました。
ウィットは、《フルーツ》の他にも美術館入口の天井に、雲のように広がる作品《Cloud》を展示していました。最初に目にするこの作品は、スケールの大きさや、雲のように浮かぶ自然な存在感に魅了されます。これだけ大きな作品ですが、近くでみると、そのひとつひとつは紙とクリップと磁石で構成されていることに気づきます。誰もが参加できるペーパークラフトの作品《フルーツ》と身近な道具で構成される巨大な《Cloud》を前にして、平面から立体を作り出すウィットの発想力と表現力に圧倒されました。

APT6のオープン日と翌日は、美術関係者を含む多くの人が美術館を訪れていました。この日は、アーティストトーク、シンポジウム、パフォーマンスなどが一日中(10時から17時まで)組まれており、作品を見るだけでなく、アーティストやキュレーターの生の声を聞く機会となっていました。
アーティストトークは各自の作品の前で行われ、どのトークにも人が集まっていました。トークは、作品の説明に終始せず、母国と自身との関係や社会的な問題から他の国へ移り活動してきたことについて話すアーティストが多く、アーティストの活動背景や歴史的な問題について知ることができました。
オーストラリアという英語圏の国で、これだけアジアに関心が集まっていること、また、このトリエンナーレが1993年から始まるという歴史にも驚かされました。まだ、Eメールの通信手段がなかったころは、FAXでやりとりをしていたと、プロジェクト・マネージャーは話していました。そのような時代からアジアのアーティストを招聘し、現在も続けられていること、そして回を重ねるごとに新たな参加国を増やし、美術館のコレクション作品として所蔵している取り組みには、感心させられました。このネットワークや持続力を日本に持ち帰り、日本や横浜の創造都市の取り組みに活かせたらと思います。
■ The 6th Asia Pacific Triennial of Contemporary Art(ATP6)
期間:2009年12月5日(土)〜2010年4月5日(月)
URL:http://www.qag.qld.gov.au/apt6 (英語)



