笠木靖之 Yasuyuki Kasagi
2010年3月25日(木)

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2009年からの「黄金町バザール」や毎月行っているオープンスタジオなど黄金町エリアのドキュメント写真を撮影しているカメラマンの笠木靖之さんに、インタビューを行いました。黄金町エリアのさまざまな活動についてスタッフ、お客さんとは異なった視点からお話していただきました。


インタビュー・編集:岩崎 美冴 / 2010.03.25



_カメラマンになったきっかけを教えてください。
 
笠木:もともと写真や絵が好きで、こどものころは、絵描きになりたいと思っていました。おじさんが油絵の絵描きで生活しているのですが、親もそれがどれだけ大変か知っているので絵描きになるのは反対されました。小さいときは絵を描いたり、写真をみたりするのは好きで、学生のころから趣味として写真を撮っていました。

大学院を修了後、就職してからは写真とは関係ない仕事をしていたので、写真専門の学校は出ていないんです。就職して3年目にこのまま一生この仕事をするよりも好きなことをやりたいと思って、うまくいくかどうかわからないけど、トライしてみました。それまでに身につけた技術や知識を捨て新しいことを始めるという点で、勇気も必要でした。未経験で写真の仕事につくのは難しいと思っていましたが、幸か不幸か探し始めてわりとすぐに仕事が見つかりました。偶然、ある写真スタジオで拾ってもらい、そこでアシスタントとして働いて3年目くらいから写真を撮る仕事をするようになりました。そこでは11年間働いて、広告写真、カタログ、チラシの宣伝用の写真を撮影していました。写真の基礎の基礎は自分で勉強しました。専門的な技術はそのスタジオで教えてもらいました。

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_今はフリーのカメラマンとして活動されているのですか?

笠木:カメラマンとして働き始めた会社に入ったころデジタルカメラは存在していませんでした。働き始めて8年目くらいからデジタルカメラを使うようになりました。

11年目のときにフリーになろうと思って会社をやめました。そのころからデジタルの時代になると思っていたので、自分のスキルをあげるために、そういった技術を学べる会社に入りました。そこで2年くらいデジタルの技術を身につけながら仕事をして、その後、完全にフリーになりました。

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_黄金町以外ではどんなところで写真の仕事をしているんですか?

笠木:現地にいって写真を撮る仕事が多いです。アートイベントやシンポジウムの撮影などがあります。一番メジャーなのは、フジロックフェスティバルの撮影だと思います。フジロックフェスティバルでは、オフィシャルカメラマンとして2004年からアーティストの撮影を担当しています。最初は会社に依頼が来た仕事だったのですが、フリーになってからも続いています。去年はY150関係のイベントの撮影や、横浜だったらYCCやZAIMの仕事をやっています。
 
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フジロックフェスティバル Photo:Yasuyuki Kasagi
 
_ 笠木さんの目から見て黄金町の面白いところ、他とは違うところ、魅力などを教えてください。

笠木:活動自体よくわかるし、やろうとしていることもわかる。難しいんだろうなというのも感じている。黄金町に初めて来たのが、2008年の黄金町バザールのときで、お客さんとして来ました。その時は大々的で派手なことをやっているなというイメージがありました。けれど、街には独特な雰囲気があって、古いものに新しいものを乗せているという違和感を感じました。

その後、2009年に仕事として、黄金町にきたときに、その前の年に比べると日常的に居るアーティストも増えたし、お祭りではない感じがして、街になじんでいるなという印象を受けました。

ただ、それをお客さんに見せるという段階まで考えると、もっとできることがあるのではないかと思います。

僕も黄金町によく来るようになったので親近感を持って見たときに、いつも来るところで自分たちの知っている人が楽しいことをやっているという点では、楽しいのかなと感じるようになってきました。リピーターが来て楽しんでもらえるような場所にはなっていると思います。

1回きて、ぱっと見て面白いと思えるものが、ピンポイントではあると思うけど、全体的に黄金町って面白いねというところまで持って行くのは大変だなと感じていました。

さらに、黄金町がこれからどうなっていくのかという点では、いろんな立場の人で考えていることが違うから、自分たちが考えている方向とは、違う方向にいくこともあると思います。いろんな活動が混ざり合っている中で、どんな形になるのかなと思っています。
 
_ 地域の人たちとNPOやアーティストとのつながりは、ドキュメント写真を撮影している笠木さんからみてどのように見えますか?

笠木:本当のところはよくわからないけど、地元という部分が見える活動は、コガネックスラボだと思います。地元の人の協力も見えるし、こどももたくさんいるから、全体を巻き込んだ運動であることは感じています。
NPOと地元という部分で結束はできていると思いますが、外から来た人がどう感じるかというのはまた違うと思います。

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黄金町bazaar2009 Photo:Yasuyuki Kasagi
 
_ドキュメント写真を撮影する中で、黄金町バザールとはどんなアートイベントだと感じますか?

笠木:イベントを誰のためにやるのかという点、お客さんの目でみたときに面白いのかという点が一番大事なことだと思っています。黄金町バザールという点で見ると、入り込めば楽しい。それをどうやって示すかというのが問題だと思います。

例えば、僕も写真をたくさん撮ったので、それを写真集にしてLCAMPに置かせてもらって、黄金町バザールに来てないけど、ここに来た人がそれを見て、こういうことやっているんだというのが、わかってもらえればいいなと思っています。

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_黄金町バザール2009で印象に残っている作品やイベントはありますか?

笠木:志村さんのまちあるきツアー「彩る散歩道」のワークショップは意外性があって面白かった。

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志村信裕「赤い靴」 Photo:Yasuyuki Kasagi

_今、変化している真っ最中。今後、こうなったらいいな、など期待することはありますか?

笠木:バザールがお祭りとして定着するには、インフラ整備が必要かなと思います。飲食がここしかないとか、もう少しお店があるなど。黄金町バザール自体が面白いというのも必要ですが、街の魅力を発信していくのも重要だと思います。

_これまで黄金町を見てきた笠木さんとして、こんな街になったらいいなというイメージはありますか?

笠木:街の魅力とは、壊すなら壊すでこれまでよりもいいものを作って行けばいいと思います。活動も同じことで、続けることも大事だけど、お店がなくなるなら、さらにいいものを作っていけばいい。

それをみんなが考えてやらないと、ただ、まちづくりという言葉だけでは、いい街になっていかない。そこには原動力が必要なんだろうなと思う。黄金町が特殊なのは断絶した街という点だと思います。今までの歴史を途切れさせようとしている。アートだけの街というのはあり得ないと思います。黄金町が、生活の街になるのか、暮らしやすい街になるか、賑わいのある街になるのか...。その一つとしてアートがあってもいいと思います。そこにきているアーティストの商品が売れたらもっといい。継続的に街として活動ができる場所であることが必要なのだと思います。

あと、環境面からいうと街の光が通るような造りの街だとイメージ的にも変るだろうし、写真にも現れてくると思う。

大岡川は桜並木もあるしロケーションが行かせるようなまちになるといいな。そのための黄金スタジオ、日ノ出スタジオだと思います。



ありがとうございました。