山野真悟 Yamano Shingo
2009年05月10日(日)

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昨年行われた「黄金町バザール」のディレクターを務め、現在はNPO法人黄金町エリアマネジメントセンターの事務局長という立場で黄金町に関わっている山野真悟氏にお話を伺いました。昨年の「黄金町バザール」の開催に続き、まちづくり、アーティストとこの街の関係、地域の人とのつながりなどについて、山野氏の視点から語っていただきました。

インタビュアー、編集:岩崎美冴 写真:柳本順也 / 2009.05.10



_昨年の黄金町バザールを終えてからNPO設立までの流れを教えてください。

もともとNPO立ち上げの計画は、Kogane-X Lab.の活動や特殊飲食店の借上げが進む過程で話があがっていました。その話が、昨年の黄金町バザールの開催によって急に展開したようです。

借上げた建物をアーティストに貸し出す、というアイディアを横浜市の行政の人たちが考えていました。それを実際に昨年の黄金町バザールのときに行ったことで、もともと行われていたまちづくりとアートの可能性が結びつきました。そして、その活動を継続的に運営するための運営母体が必要になり、NPOを立ち上げることになったというわけです。


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_実際にNPOの活動として柱になるものを教えてください。

黄金町エリアのまちづくりや街の再生というテーマと、アートイベント、創造界隈の形成という2つの流れをつないでいるのが、このNPOの特徴だと思います。NPOは、まちづくりの活動と、黄金町バザールなどのアートイベントの開催やアーティストの活動支援を同時に行っています。

アーティストや店舗がどうやってこの街に定着していくか、どうしたら昔の街に戻らないかという点を考えています。当初、僕はもっと簡単に考えていたのですが、実は今も昔に戻る可能性をかなり持っていると思います。もとに戻らないようにするためには、アートイベントを開催するだけでは解決できません。アーティストの活動が街に定着し、生活の場となり、それを拡大させていく必要があります。そして、昔の商売に頼らなくても経済的に成り立つ地域にしていく。それをこれから少しずつ進めていきたいと思っています。

そして、地域のみなさんや、遠くからこの街に来てくださる多くの方々に対して、街の姿が変わる過程を伝えていくのも重要な役割のひとつです。


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_昨年の黄金町バザールの会場となった場所は、今はどのように使われていますか?

黄金町バザールが終わってから入居者の募集を行いました。アーティストやショップの経営者など19組の人たちが入居して活動を始めています。


_黄金町バザールの時と今の街の状況に違いはありますか?

黄金町バザールのときは、当然イベントとしてかなりの広報活動をしたこともあってたくさんの人たちに来ていただきました。今は黄金町バザールのときほど多くの人が来るわけではありませんが、入居者の人たちが継続的に活動し、それが街のイメージを変える力になっています。

例えば、黄金町バザールの場合は、全体の会場構成という意味で意図的な配置を行いました。しかし、今のように日常的な活動をしている状況ではそこまで意図的な構成はできません。そういう意味で今、アーティストたちは街の一部として活動していると思います。

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_スタジオ利用者の公募を行いましたがどのような点が選考の基準になったのでしょうか?



選考委員が4人いました。アート性を重視した評価軸と、地域にこういうのが欲しいなという地域の人の評価軸がありました。この2つを合わせて選考したので、評価基準は結構厳しいと思います。

家賃が安いからという動機だけで応募してきた人たちはほとんど採用されていません。アーティストについては水準や、将来性、地域の人との交流などを面接で確認しました。さらに3ヶ月間のテスト期間をもうけるなど、入居者の選考については常に慎重に進めています。


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_地域の人たちはアーティストをどのように受け入れているのでしょうか?山野さんの視点で教えてください。

こういう活動をしていて、みんなが大歓迎というのはあり得ません。理解してくれる人、共感してくれる人が少しずつ増えていけばいいと思います。今は初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会の人たちをはじめ、アーティストやNPOのスタッフが日常的に顔を合わせ、輪が少しずつ大きくなっているかなという感じです。それが少しずつ増えていけばいいと思っています。ある程度時間がかかる仕事です。


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_2009年の黄金町バザールはどのような展覧会になるのでしょうか?

去年より今年のほうが大変かもしれません。去年はゼロから作りました。今年はアーティスト・イン・レジデンスのメリットを最大限に活かしたものをやりたいと思っています。

去年の黄金町バザールでは一部のアーティストがレジデンスをしましたが、今回は、できるだけ多くのアーティストに1ヶ月、2ヶ月、滞在してもらいます。当然、その時に街の状況を見たり、歴史についても話をしたりします。

前回の黄金町バザールの時は、こちらがアーティストに対しかなり踏み込んで構成しました。街の状況にピントを合わせることをキュレーター側がやりました。その代わりとして今回はレジデンスの期間があります。また、場所があって作品が完結するもの、前回でいうと、北川貴好さんの作品スタイルのように、そこでしか出来ない、そういうのが出来たらいいと思います。さらにそれが建物と一緒に残ってもいいと思います。そして、それを将来活用していけたらさらにいいですね。また、スタジオ入居者も参加アーティストになります。彼らはある程度、街のことは知っていますから、黄金町バザールに向けてディスカッションしながら一緒に企画を作っていきたいです。